子宮底長による多胎妊娠診断法
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概要
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単胎妊娠に比して多胎妊娠には妊娠中母体合併症が高率にみられ,流早産も多く,母児の予後,とりわけ児の予後の悪い事が知られている.新潟大学および中央綜合病院における82例の多胎妊娠に関する臨床統計でもこの事は裏付けられたが,分娩時に初めて多胎妊娠と診断のついた症例においては特に児の予後の悪い事が判明した.したがって多胎妊娠を早期に,遅くとも分娩開始前に診断する事は産科学的に重要な事である.他の疾患におけると同様,多胎妊娠の正診への第一歩はそれを疑う事にある.日常の妊婦のルーチン検査の中から子宮底長を選び,多胎妊娠診断への可能性を求めてみた.自験82例の子宮底長を集計し,多胎妊娠の妊娠週数による子宮底長推移を検討した.単胎妊娠における標準子宮底長(M±1SD,松田ら^<4)>)と同様,82例の多胎妊娠の子宮底長からM±1SDを算定し,これを多胎妊娠の標準子宮底長とした場合の有用性を検討した.妊娠24週以降当科で5回以上妊婦検診を受けた41例の多胎妊娠をretrospectiveに検討すると,分娩時まで多胎妊娠との診断がつかなかった症例が7例あつたが,今回設定した多胎妊娠のための標準子宮底長を利用した診断法を応用していたならばこの数を3例に減らすことができ,加えてこれら38例の平均診断時期も多少早めることができていたであろう,という結論を得た.多胎妊娠を可及的早期に診断することは,これらをhigh risk pregnancyとしてintensive careの管理対象とすることができ,母児の予後を一層改善することが可能と思われる.なお,単胎妊娠の標準的な子宮底長概数はMを妊娠月数とする時,3M+3cmで表されるのに対して,多胎妊娠ではWを妊娠週数としておよそWcmで表現されることがわかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-08-01
著者
-
半藤 保
教育・用語委員会
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
笹川 基
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
半藤 保
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
近藤 裕昭
新潟県厚生連中央総合病院産婦人科
-
永松 幹一郎
新潟県厚生連長岡中央綜合病院産婦人科
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