婦人科疾患での癌胎児抗原(carcinoembryonic antigen)の動態とその臨床的意義に関する考察
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概要
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carcinoembryonic antigen (CEA)のRADIOIMMUNOASSAY法を用いて,主として婦人科疾患患者の血中における濃度を測定して以下のごとき結果を得た. 1) 正常非妊婦人48例の検討ではその血中CEAは平均1.13±0.58ng/mlで加令によるCEAの上昇傾向をみとめた. 2) 良性腫瘍である子宮筋腫,卵巣〓腫にも小数例ながらCEA陽性をみとめたが4ng/mlを超えた例は存在しなかつた. 3) 婦人科悪性腫瘍のうち,その術前における検討にて子宮頚癌48.2%(29例中14例),子宮体癌42%(7例中3例),卵巣癌61.5%(13例中8例),外陰癌75%(4例中3例)に陽性を認めた. 4) 癌の病理組織形とCEA値との関係において,adenocarcinomaの群でsquamous cell carcinomaやその他の癌より有意に高いCEA値を示した. 5) 術前CEA値と患者血液型との関連では,A型の患者に高値を認め,以下O型,B型,AB型の順であつた. 6) 絨毛性腫瘍患者血中のCEAの検討では良性の胞状奇胎妊娠例でも21.4%(14例中3例)の陽性率があつたが,掻爬後には全て正常域内に入つた.一方絨毛上皮腫は治療経過中もCEA値の変動は激しく,治療に対する抵抗性をうかがわせその術前陽性率は16.6%(12例中2例)であつた.又治療中に上昇傾向を示したものの予後は不良であつた. 7) CEAとAFPの相関を同一症例の血清にて検討したが有意の相関はみられなかつた. 以上より婦人科領域での悪性腫瘍患者の血中CEAを術前より術後にかけて連続的に測定することは,その診断と予後の追及に十分役立つ可能性のあることが判明した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-05-01
著者
-
半藤 保
教育・用語委員会
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
佐藤 芳昭
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
佐藤 芳昭
神奈川県相模原協同病院
-
半藤 保
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
樋口 朗
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
佐藤 芳昭
新潟大学医学部
-
鳥取 孝成
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
鳥取 考成
新潟大学産科婦人科学教室
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