血清/髄液HCG,β-HCG比による絨毛癌脳転移:早期発見へのアプローチ
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概要
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絨毛癌脳病転移例6例ならびに非脳転移例13例の血清と脳脊髄液中のHCGとβ-HCGを連続測定し,血清/脳脊髄液HCGならびにβ-HCG比を検討し,以下の成績を得た.1)絨毛癌脳病転移陰性例血清HCGは15〜1,807ng/mlの範囲であり,髄液HCGは1〜36ng/mlであった.血清/髄液比は2.14〜250,平均76.22であつた.2)脳寧移確認例の血清HCGは150〜26,000ng/ml髄液HCGは12〜20,000ng/mlであり,これらの血清/髄液HCG比は,0.47〜18.62 平均6.33と非転移例に比し著しく低値を示した.3)脳転移陰性例の血清β-HCGは110〜1,000ng/ml,髄液β.HCGは3〜16ng/mlであり,血清/髄液β-HCG比は36.67〜123.33であり,HCG比と比較して高い傾向にあった.一方,脳転移例では発症前の血清β-HCGは18〜44ng/ml,髄液β.HCGは74〜80ng/mlであり,血清/髄液β-HCG比は0.24〜0.54で,HCG比と比較して,さらに低い比値を示す傾向にあった.4)血清/髄液HCGとβ-HCG比が20以下,髄液中濃度が50ng/ml以上の場合,すべて脳転移例であった.5)血清HCG濃度が100ng/ml以上,血清/髄液比が20以下の場合,脳転移例が多くみられた.また血清β-HCGが18ng/ml以上で,比値が20以下の場合も脳転移をしめした.6)上記のcriteriaにより,臨床症状発現や脳CT-スキャンで発見する前に,脳転移を推定できた症例が2例あった.以上より.絨毛癌で肺転移があり,化学療法に抵抗を示し,尿中HCGがLHレベルに下降しないような症例に,血中・髄液HCGとβ-HCGを測定し,上記criteriaを検討することにより脳転移の早期発見が可能であることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-02-01
著者
-
高橋 威
新潟がん
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
佐藤 芳昭
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
佐藤 芳昭
神奈川県相模原協同病院
-
花岡 仁一
新潟大学医学部産婦人科学教室
-
高橋 威
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
佐藤 芳昭
新潟大学医学部
-
花岡 仁一
新潟市民病院
-
鳥取 考成
新潟大学産科婦人科学教室
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