合成 gestagen の雌性ラットの性行動に及ぼす影響

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近年, 経口避妊薬の開発により多くの合成 gestagen 剤が開発されて来た. これらの性ステロイドが雌ラットの性行動に如何なる影響を及ぼすかについて検討した. 去勢2週間以上経過した雌ラットに種々の量の estradiol benzoate を投与すると, 投与量が 0.5μg/day 以下では8日間以上投与しても著明な L/M 比の変化を認めないが, 1.0μg/day 以上の投与では4日間以上の投与で著しく増加した. しかし種々の量の progesterone を数日間投与しても L/M 比は0に近かつた. 一方, 去勢雌ラットに progesterone を estrogen priming 後に投与すると, 少量の estrogen でも容易に maximum の L/M 比を示した. とくに estrogen の priming の期間およびその量, progesterone の投与量にも関係し, estrogen の投与量の多いほど, 投与期間の長いほど progesterone の投与量の多いほど反応がつよかつた. さらにestradiol benzoate 1μg/day, 3日間 priming 後に合成 gestagen を投与して, L/M 比に及ぼす影響を観察した. ethynodiol diacetate は 1.0mg/day では殆んど変化がなく, 5.0mg/day でやゝ上昇し, 10mg/day では50%以上の L/M 比を示した. megestrol acetate は 0.1mg/day では何らの変化を示さないが, 0.5mg/day で上昇しはじめ, 5.0mg/day, 10mg/day では80%以上の L/M 比を示した. norethindrone acetate は0.1mg/day のごとき少量を投与しても L/M 比は著明に増加し, 5.0mg/day では maximum に達した. これらの合成 gestagen による性行動の亢進は progestational activity と必ずしも平行しなかつた. これらの実験より, 去勢雌ラットの性行動には性ステロイド, 主として estrogen と少量の gestagen の附加的投与が必要であり, この gestagen には必ずしも progestational activity と平行しないことが判明した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1973-06-01

合成 gestagen の雌性ラットの性行動に及ぼす影響

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