下垂体前葉incubation実験よりみた化学排卵物質のgonadotropin分泌におよぼす影響
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概要
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近年, 無排卵婦人に排卵を誘発するClomidおよびF6066なる新しい化学物質が開発され, すぐれた臨床効果を上げている. 一方Lychium chinense Miller (LCMと略す)が家兎に高率に排卵を起こすことが, 最近報告された(大沢, 1969). しかしこれら物質の作用機序は未だ解明されていない. そこで, これらの物質がin vitroの下垂体にいかなる作用をもつかを知るために, ラット下垂体前葉incubation法を用い, そのmedium中のgonadotropinを, LHはParlow (1958)のアスコルビン酸減少法, FSHはSteelman-Pohley (1953)のラット卵巣重量測定法, prolactinはNicoll (1967)の鳩咳嚢粘膜乾燥重量測定法をそれぞれ用いて測定した. incubationの方法については前編(高橋, 1970)で詳述した方法を用いた. 1) Clomidは直接下垂体に対しても, 視床下部存在下でも, LH分泌を抑制する傾向を示した. FSHは大量のClomid添加でやゝ分泌亢進を示し, prolactinは少量で有意の分泌亢進を示した. またprolactinの場合は視床下部の存在下でも分泌亢進を示した. 2) F6066は直接下垂体に作用し, 強力にLH分泌を亢進させ, FSHとprolactinではやゝ分泌亢進の傾向がみられた. 視床下部存在下でもLHのみ有意の分泌亢進を認めた. 3) LCMはG-25F_1およびIR-4B(図2)いずれの場合も直接下垂体に作用しLH分泌を亢進させた. 4) 以上のことから, 同じ排卵誘発作用を示すClomidとF6066はともに間脳下垂体系に作用はするが, ClomidはFSH, prolactin, F6066はLHの分泌機転に, より強く作用するものと思われる. またLCMの排卵惹起作用は, 直接下垂体に作用しLH分泌を強く亢進させることによるものと推察される. なおこれらの物質の作用機序については今後さらに詳細な検討を要すると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-01-01
著者
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