下垂体前葉 Incubation 実験よりみた視床下部の Gonadotropin 分泌への影響および銅塩排卵の作用機序
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概要
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下垂体前葉に対する視床下部の神経体液的調節という概念は, 現在広く認められているところである. その証明には従来より in vivo および in vitro の方法が考案されて来ているが, 著者は in vitro における雄ラット下垂体前葉の incubation 法を行ない, その方法の基礎的問題についてまず検討を加え, この方法を用い incubation medium に視床下部粗抽出液および銅塩を添加した場合の gonadotropin の変動より, 銅塩排卵の作用機序について検討した. なお gonadotropin 測定には, LH は Parlow のアスコルピン酸減少法, FSH は Steelman-Pohley のラット卵巣重量測定法, Prolactin は Nicoll の鳩〓嚢粘膜乾燥重量測定法を用いた. 1) 雄ラット下垂体前葉を incubate すると, 下垂体前葉の適量および時間により, その medium 中の gonadotropin を測定することが可能である. 2) すなわち2時間 incubate してその medium 中の gonadotropin を測定すると, 1 recipient 動物あたりLHでは下垂体前葉4/5個相当で約1.0μg(NIH-LH-S_<12>), FSHは6/5個で約100μg(NIH一FSH-S_4), Prolactin は8/5個で約40mU(NIH-P-B_2)とそれぞれ測定することができた. 3) 視床下部の添加によりLHおよびFSH活性は有意に高められ, Prolactin 活性は減少した. すなわち LH, FSH releasing-factor, Prolactin inhibiting-factor の存在を推察しえた. 又LHに関しては, 添加した視床下部の量に比例しLH活性が dose response に亢進した. 4) 大脳皮質および下垂体後葉成分の添加では変動がみられなかった. 5) 銅塩の単独添加では, Prolactin だけが増加を示した. 6) 視床下部および銅塩添加では, LH, FSH共に有意の増加を示した. 7) 以上の結果から銅塩排卵の作用機序は, 銅塩の視床下部への働きにより前葉より, LH, FSHが放出されるためと推察される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-04-01
著者
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