抗 HCG 家兎血清のラット性周期および妊娠に及ぼす影響
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概要
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生物の生殖現象には gonadotropins や steroid hormones が複雑に関与しているが, 習慣性流産や機能性不妊症と呼ばれるものの中には免疫学的な機序が関与しているものもあると考えられる. この観点から著者らはHCGを家兎に投与して抗HCG血清 (hemagglutination reaction で1:5120以上) を作製し, この血清を性周期の正しい Wistar 系メスラットおよび妊娠中のラットに投与してその影響を観察した. その結果次の成績が得られた. (1) 抗HCG血清は寒天ゲル内拡散法でHCGの他に, ラットLHとも交差反応を示し, HMGとも一本の沈降線がみられた. (2) この血清を正常性周期を示すメスラットの発情前期の午前9〜10時に投与すると, 皮下注では0.2ml以上, 静脈注射では0.1ml以上で大部分のラットは性周期が抑制され anestrus となつた. (3) 妊娠ラットに対し, 妊娠第1日目から5日間抗血清を腹腔内に投与すると, 1日0.3ml では9例中2例 (22.2%) に, 0.5ml では7例中2例 (28.6%) に胎仔の死亡や conceptus の種々の障害像を認めた. (4) 妊娠第1日目から10日間の連続投与では1日 0.3ml で5例中2例 (40%), 0.5ml では7例中4例 (57.1%) と高率に上記の様な妊娠の異常が生じた. (5) 妊娠後半の第13日から第17日までの5日間抗血清 0.5ml を投与した群では異常は認められなかつた. これらの成績は生殖現象に及ぼす免疫の関与を示唆すると共に, 不育症や不妊症などの病態を解明する上での資ともなると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-06-01
著者
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
布川 修
新潟南病院産婦人科
-
広井 正彦
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
布川 修
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
川越 慎之助
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
川越 慎之助
新潟大学医学部産婦人科学教室
-
広井 正彦
新潟大学医学部産婦人科学教室
-
布川 修
新潟大学医学部産婦人科学教室
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