人工弁置換後妊娠・分娩での周産期における問題点について
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概要
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心疾患, 特に弁疾患に対して人工弁置換を行う症例が増加し, それに伴つて人工弁置換婦人の妊娠する例も増加しつつある.わたくしたちは新潟大学産科でとり扱つた人工弁置換後の妊娠, 分娩について捧討し, 以下のごとき結果を得た.1.昭和45年以後, 新潟大第2外科で人工弁置換を行い, その後妊娠した例は30例であり, うち17例が分娩, 自然流産5例, 人工妊娠中絶施行が8例であつた.2.分娩した17例中妊娠初期に抗凝固剤を用いたのが14例であり, この中から3例の新年児奇形の発生をみた.3.妊娠時の問題点よりみると, 対照とくらべて, 妊娠中毒症, 特に重症型の増加がみられ, 心不全発生(血栓症状発現をも含む)が17.6%と, 全心疾患妊娠との比較でも約2.5倍の高頻度にみられた.また妊娠中に連続的に測定したトロンポテストよりみると, 一般に抗凝固療法を受けていても, 妊娠7ヵ月よりトロンポテストの上昇をみる症例が多く, coumarinでコントロール不能であつた一例は分娩後に死亡した.4.分娩, 産褥時においては早産が多く, 又抗凝固療法を打つているために, 分娩時の大量出血例が約半数強にみられた.又産褥時の血栓発生が2例(11.8%)におこつた5.新生児の問題点としては, 上記の3例の奇形の他に, 低出生体重児(SFD)が, 25%に存在し, 明らかに対照より高かつた.以上のことより, 人工弁置換妊婦においては, 特に抗凝固薬の使用を中心として, 多くの問題点を有しており, 特に新生児奇形および早産, SFO発症率の増加と, 母体側の血栓症め発症より検討すべき点が多いことを痛感した.
- 1981-06-01
著者
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