ヒト子宮筋培養細胞におけるオキシトシン刺激によるPGE_2, 6keto PGF_<1α>産生能に関する検討

概要

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ヒト子宮筋収縮機構において脳下垂体より産生されるoxytocin (OT) はその中心的役割をなしているものと考えられる. 一方prostaglandin (PG) は子宮筋より産生され, 自らの収縮制御因子として作用することが知られており, ヒトの陣痛制御機構はこれらの相互協調作用により成立しているものと考えられる. 今回, 子宮筋におけるOTを介するPG産生メカニズムを明確にするため, ヒト子宮筋培養細胞を用い, 各種濃度のOT刺激による細胞上清中PGE_2, 6keto PGF_<1α>の経時的濃度変化をEIA法により測定した. またDG lipaseおよびPLA_2 inhibitorを用い, 子宮筋におけるOT-PG情報伝達系を解析した. その結果, 1) OT2×10^<-7>M添加によりPGE_2, 6keto PGF_<1α>ともに2相性の増加曲線を示した. phase 1は20秒にpeakを有する一過性の増加現象であり, phase 2は120秒より開始する持続性の増加現象であることが確認された. また, phase 1はDG lipase inhibitorであるRHC80267により有意に抑制された. また, phase 2はPLA_2 inhibitorであるMepacrineにより有意に抑制された. 2) OT濃度変化に対し, phase 1, phase 2はそれぞれ10^<-10>M〜10^<-6>Mの範囲において濃度依存性の産生増加を認めた. 10^<-6>Mにおける産生量を100%とした場合, 50%産生に要するOT濃度は10^<-9>M付近であることが確認された. 3) 子宮筋静止時とOT刺激時の, PGE_2, 6keto PGF_<1α>の濃度を比較すると, 静止状態では6keto PGF_<1α>>PGE_2であるPG産生能がOT刺激により逆転することが確認された. 以上の成績は, ヒト子宮筋における静止時ならびにOT刺激時におけるPG産生能を明確にしたものであり, 特にOTによる2相性のPG産生現象の解明は, 外来刺激による内因性子宮筋収縮調節メカニズムの作動を明らかにした成績であると考えられる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1993-06-01

ヒト子宮筋培養細胞におけるオキシトシン刺激によるPGE_2, 6keto PGF_<1α>産生能に関する検討

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