L-glutamateの胎盤輸送機序(人胎盤絨毛brush border膜小胞を用いて)

概要

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人満期胎盤より得た微絨毛膜小胞を用いた急速濾過法によって,L-glutamateの膜輸送機序について検討した.L-glutamateは,浸透圧に感受性を示す微絨毛膜小胞によって取り込まれ,また,小胞をL-glutamateで前負荷しておくとその取り込み量が増加した.これらの成績は,小胞へのL-glutamateの取り込みは,小胞内への実際の輸送であることを意味している.内向きのナトリウムイオンの電気化学濃度勾配を小胞の内外に形成するとL-glutamateの取り込み初速度はNa^+の存在しない場合の約3倍に増加した.L-glutamateの小胞内への取り込み初速度はL-glutamate濃度によって決定される飽和kineticsに従うことが判明し,Km値としては,0.15mM,また,Vmax値としては70pmol/mg protein/20secがえられた.これらの結果はL-glutamateの小胞内への膜輸送はNa^+依存性のcarrierによってなされていることを示している.さらに,L-glutamateの小胞内への取り込みは,L-aspartateおよびL-cysteateによって競合的に阻害されることより,胎盤微絨毛膜には,acidic amino acidに構造特異的なcarrier systemが存在することが示された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-02-01