胎盤循環の維持機構 : 胎盤絨毛上皮刷子縁膜の血小板凝集阻止活性の研究

概要

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ヒト胎盤絨毛上皮刷子縁膜の血小板凝集阻止活性の作用機序につき検討し, 以下の成績を得た. 1. 胎盤刷子縁膜小胞 [brush border membrane vesicles (BBMV)] は, ADP, アラキドン酸および ristocetin 惹起血小板凝集を阻止した. 2. BBMV には強力な ADP 分解活性(ADPase 活性)が存在しており, ADP を, BBMV とincubation すると ADP は AMP に速やかに分解された. 3. BBMV はアラキドン酸を添加した時の血小板の thromboxane A_2 (TXA_2) 産生を著明に阻害し, 20μg/mlでは68%, 40μg/mlでは97%阻害した. 4. TritonX-100で可溶化した BBMV には著明な血小板凝集阻止活性が存在しており, ADP とアラキドン酸による血小板凝集をほぼ100%阻止したが, ristocetin による血小板凝集の阻止活性は著明ではなかった. 5. 可溶化した BBMV を陰イオン交換カラムを用いて分画すると, ADP 分解活性 (ADPase) 分画, ならびに血小板アラキドン酸代謝阻止活性 (血小板 TXA_2 産生阻止活性) 分画とに別々に分画された. 6. 胎盤刷子縁膜小胞を超音波処理によってその膜構築を破砕すると ristocetin 惹起血小板凝集の阻止活性のみ著明に減弱した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1990-11-01