胎児期小腸の L-alanine 吸収能 (空腸刷子縁膜小胞を用いて)

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妊娠中期胎児小腸(空腸)より得た刷子縁膜小胞を用いて、急速濾過法によって胎児小腸におけるL-alanineの吸収機構について検討した。刷子縁膜小胞へのL-alanineの取り込みは、浸透圧感受性を示す取り込みであった。このことは、小胞へのL-alanineの取り込みが実際の小胞内への輸送であることを意味している。小胞内外に内向きの濃度勾配(小胞外>小胞内)存在下では、L-alanineの輸送は典型的なovershootを示すNa^+依存性の取り込みであった。このovershootを示すNa^+依存性のL-alanineの小胞内への取り込み初速度は、細胞透過性の高い陰イオンによって小胞内に陰性の膜電位ポテンシャルが形成された時に著明に促進された。同様の取り込み初速度の促進はバリノマイシンによって小胞内陰性のK^+拡散膜電位ポテンシャルが形成された時にも著明であった。以上の成績より、Na^+依存性のL-alanineの刷子縁膜小胞内への取り込みは、小胞内外の膜電位ポテンシャルに依存することが判明した。L-alanineの小胞内への取り込み初速度は、L-alanineの濃度によって決まる飽和kineticsに従うことが判明し、Km値としてはKm1は1.6mM、Km2は14.1mM、また、Vmax値としてはVmax1は4.0n mol/mg protein /20 sec、Vmax2は8.2n mol/mg protein/20 secであった。以上、結論として、妊娠中期胎児小腸(空腸)には、成人に匹敵するL-alanineの吸収機構が既に形成されていることが明らかとなった。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-07-01

胎児期小腸の L-alanine 吸収能 (空腸刷子縁膜小胞を用いて)

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