胎児期腎臓の D-glucose 再吸収能の検討 (近位尿細管刷子縁膜小胞を用いて)

概要

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妊娠中期胎児腎臓(腎皮質)より得た刷子縁膜小胞を用いて、急速膜濾過法によって、胎児腎近位尿細管におけるD-glucoseの再吸収機構およびその胎児期における発達について検討した。 1. 胎齢18週胎児腎臓より得た刷子縁膜小胞内へのD-glucoseの取り込みのNa^+濃度勾配(小胞外>小胞内)依存性は明らかではなかった。 2. 胎齢22週胎児腎臓より得た刷子縁膜小胞内へのD-glucoseの取り込みはovershootを示すNa^+依存性の輸送であった。また、このNa^+依存性のD-glucoseの小胞内への輸送の取り込み初速度は、細胞膜透過性の高い陰イオンを用いて小胞内が陰性となるような膜電位差を形成した時に著明に増加した。同様の取り込み初速度の増加はバリノマイシンによって小胞内陰性のK^+拡散膜電位差を形成した時にもみられた。以上の成績より、腎近位尿細管での、Na^+依存性のグルコースの能動的な再吸収は胎齢18週と22週の間で形成されることが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-07-01