ヒトNK細胞およびLAK細胞の個体発生に関する検討

概要

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新生児の免疫能は成人に比べて不完全であり,感染症の際にも重篤化することが多い.またMCUの発達により早産児をかなり救命し得るようになったものの,免疫能の未熟性に起因すると思われる易感染性および感染症の重篤化は重大な問題となってきている.そこで,これらの流早産児の免疫機能を知ることは,胎児免疫能の把握につながり,さらに免疫系の個体発生,ひいては系統発生を知る手掛かりにもなり,非常に多くの情報を我々に与えるものと思われる.今回,形態学的に同一のlarge granuler lymphocyte(LGL)を呈し,ウイルス感染,腫瘍免疫に対して重要な働きを有するNK細胞,および腫瘍免疫にかかわるlymphokine activated killer(LAK)細胞機能を検討し,さらにこれらの細胞機能を修飾するinterieukh2(IL-2)についても検討した.1)NK活性は成熟児において10.7±5.6%と成人値26.3±0.3%に比し有意に低下していた.一方,32週以前の流早産児のNK活性は正期産児に比し,さらに低値を示した.IL-2によるNK活性の増強(Augmented NKa ctivityby IL-2)は成人値60.1±12.8%,正期産児61.2±10.8%となり両者間に差は認めないものの,32週未満の早産児では低値を示した.2) two color flow cytometryを用いたNK細胞のサブセット解析において,Leu7-Leu11^+細胞は16週以降の胎児血中には十分存在するものの,Leu7^+Leu11^+, Leu7^+Leu11^-細胞は正常産児においても極めて少数しか認めなかった.3)LAK活性は16週胎児で17.3%であったが,19週胎児では64.7%と19週以降は成人値(64.8±18.7%)と差を認めず,その機能完成は極めて早期であった.4) IL-2産生能は16週胎児においても十分で,むしろ早期産においては成人より高値を示すものが多かった.このように免疫系を制禦する重要な因子であるIL-2産生能を,胎児は極めて早期に獲得することが示された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-04-01

ヒトNK細胞およびLAK細胞の個体発生に関する検討

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