L-alanineの胎盤能動輸送能の妊娠経過における変動(微絨毛膜小胞を用いて)

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妊娠初期および正期ヒト胎盤より分離した微絨毛膜小胞を用いてLalanineの胎盤能動輸送機構の解明ならびに輸送能の妊娠経過に伴う変化について検討した。胎盤より分離した微絨毛膜小胞分画の純度は膜の指標酵素であるalkaline phosphatase(ALP)、5'-nucleotidase、γ-GTPを測定し、一方homogenate分画に対する比活性によつて検討した。その結果、比活性は、妊娠初期では、ALPは15.3倍、5'-nucleotidaseは14.0倍、γ-GTPは8.3倍であつた。一方、妊娠後期ではALPは16.0倍、5'-nucleotidaseは14.8倍、γ-GTPは7.5倍であつた。L-alanineの微絨毛膜小胞内への取り込み量は、妊娠初期および末期の両者ともNa^+の小胞内外の濃度勾配(Na^+ out>Na^+ in)に依存し、また、そのNa^+依存性の取り込みに膜内外の電位差が関与していることを認めた。Lalanineの微絨毛膜小胞内への取り込み初速度のパラメーターは、妊娠初期ではKm値は0.78±0.20mM、Vmax値は0.62±0.21nmol/mgprotein/20secであり、一方、妊娠末期ではKm値は0.80±0.24mM、Vmax値は3.53±0.70nmol/mgprotein/20secであつた。以上の結果よりLalanineの胎盤能動輸送機構は妊娠初期および末期において同一であると考えられたが、その輸送能は妊娠末期で初期に比べ著明に増加することを明らかにした。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-04-01

L-alanineの胎盤能動輸送能の妊娠経過における変動(微絨毛膜小胞を用いて)

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