正期産児,早産児の抗体産生能についての検討 : Tリンパ球サブセットおよびサイトカイン産生能について

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新生児における抗体産生能低下機序について知るため,mitogenによる抗体産生細胞の誘導,two color FACSによるT-cellサブセットの同定,さらにIL-1,IL-2,BCGFのサイトカイン産生能を測定し以下の結果を得た.1. 膀帯血中1gG濃度は,在胎週数が増すにつれて母体よりの旺盛なtransportを受け増加した.IgM濃度は正期産児においても低値を示したが感染兆候を認めたPROM症例では26週でも高値を示した.また自然抗体である抗血液型抗体は16週で既に認められた.2. PWM,SACのmitogenによる抗体産生細胞誘導は,正期産児,早産児とも成人に比べ著明に低下していた.また新生児 T-cell condition mediumは抗体産生を誘導できず新生児抗体産生能の低下には,T-cell因子が大きく関与していることが示唆された.3. two color immunofluorescence法により新生児では成人と比べsuppressor T-cellは少ないがsuppressorinducer T-cellが有意に多く,またhelper T-celIが極めて少なく抗体産生を十分誘導できないことが示唆された.4. IL-1産生能は正期産児で成人と比べ有意に低く,早産児ではさらに低下することが明らかになった.5. IL-2産生能は正期産児では成人と差を認めないが,早産児では有意に高いことが判明した.6. BCGF産生能は正期産児で成人より増加の傾向を示し,早産児では有意に増加していた.以上,新生児ではsuppressor inducer T-cellが多く helper T-cellが極めて少ないこと,IL-2,BCGFなどの主に増殖に作用するサイトカイン産生能は高いが,IL4産生能は低下していることが明らかとなり,これらのことは抗体産生能低下の一因であると考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-11-01

正期産児,早産児の抗体産生能についての検討 : Tリンパ球サブセットおよびサイトカイン産生能について

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