胎盤における糖・アミノ酸輸送の特性 : ヒト胎盤微絨毛膜小胞を用いて

概要

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胎盤におけるグルコース,アミノ酸の輸送能の特性を知る為に,妊娠初期および妊娠満期ヒト胎盤より分離した微絨毛膜小胞を用いて膜急速ろ過法によって,D-glucoseおよびL-alanineの取り込みを検討した。 1.微絨毛膜小胞へのD-glucoseの取り込みは,小胞内外のNa^+濃度勾配(小胞外>小胞内)に依存性を示さず,D-glucoseの小胞への取り込み初速度はL-glucoseの取り込み初速度の約3倍であった。一方,phloretinは微絨毛膜レベルでのD-glucoseの取り込みを著明に阻害した。従って,D-glucoseの微絨毛膜での輸送は促進拡散によることが示された。 2. 微絨毛膜小胞へのL-alanineの取り込みはNa^+の濃度勾配に依存した二次的能動輸送であり,また,その輸送能は妊娠初期(4カ月)に比し妊娠末期(10カ月)で著明に増加した。一方,D-glucoseの輸送能は妊娠初期と妊娠末期で差異は認めなかった。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-09-01