耐虫性, 耐寒性チャ品種'さやまかおり'の花粉親は現存しない可能性が高い
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
緑茶品種'さやまかおり'は茶の重要害虫であるカンザワハダニ, クワシロカイガラムシに対して抵抗性を持ち, かつ寒害, 霜害にも強く緑茶育種の抵抗性育種素材として極めて重要な存在である.'さやまかおり'は埼玉県茶業試験場において, 静岡県茶業試験場より取り寄せた茶品種'やぶきた'の1947年産自然交雑種子中より選抜されている.'さやまかおり'は極端な立葉, 際立って濃い葉色, 特徴的な鋸歯等々, 一般的な日本在来のチャにはほとんど見られない特徴的な形態形質を有している.これらはその後代の形態形質に大きな影響を与えることが再確認され, 優性効果の大きな遺伝子に支配されていることが推定された.従って'やぶきた'がそのような形質を有していない以上, 'さやまかおり'の花粉親に必須の条件と考えられた.これらの特徴的な形態形質を指標に静岡県茶業試験場内より'さやまかおり'の花粉親としての可能性が多少なりとも疑われる栄養系を全てピックアップした.選ばれた78栄養系はいずれも海外, 特にそのほとんどが中国からの導入系統であり, 日本在来のチャは含まれなかった.これらを'さやまかおり'の花粉親候補とし, 'やぶきた'および'さやまかおり'を用いてDNAマーカーによる親子鑑定を行った.その結果, 'さやまかおり'の花粉親として合致するものはなく, 'さやまかおり'の花粉親はすでに現存しない可能性が高いと判断された.
- 日本育種学会の論文
- 2001-03-01
著者
-
山口 信雄
農林水産省野菜・茶業試験場:広島大学大学院理学研究科附属臨海実験所
-
田中 淳一
野菜茶研・育種開発
-
田中 淳一
野菜 ・ 茶業試験場(枕崎)
-
中村 順行
静岡県茶業試験場富士分場
-
田中 淳一
独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構野菜茶業研究所枕崎茶業研究拠点:(現)農林水産省技術会議事務局
-
田中 淳一
農林水産省野菜・茶業試験場
-
中村 順行
静岡県茶業試
-
中村 順行
静岡県茶業試験場:静岡県庁農林水産部お茶振興室
関連論文
- 珪藻土を用いた簡易で迅速な植物からの DNA 抽出法
- チャにおけるPCRを利用したマイクロサテライトのマーカー作出
- チャのポット育苗時におけるせん枝処理が苗の分枝数増加に及ぼす影響
- チャ挿し木苗における根系形態の品種間差異
- チャ芽の霜害に及ぼす氷核活性細菌の役割
- フローサイトメトリーによるチャ(Camellia sinensis),ツバキ(C. japonica)およびその種間交雑種のゲノムサイズの推定
- チャの窒素同化関連遺伝子および根由来ESTの解析
- チャのクワシロカイガラムシ抵抗性DNAマーカー選抜と将来展望
- ツバキ園芸品種'炉開き'が種子親ヤブツバキ(Camellia japonica)×花粉親チャ(C. sinensis)の種間交雑種であることのRAPDおよびSSRマーカーによる確認とチャ育種への利用の可能性
- ツバキ園芸品種'炉開き'が種子親ヤブツバキ(Camellia japonica)×花粉親チャ(C. sinensis)の種間交雑種であることのRAPDおよびSSRマーカーによる確認とチャ育種への利用の可能性
- チャの起源と伝播に関する研究 VII.RAPDマーカー解析から明らかになった中国・韓国・日本の収集系統における遺伝的多様性
- チャにおける3'側1〜2塩基付加プライマーの組合せによるRAPDバンドの強調とバックグラウンドバンドの消去
- 沖縄県の台湾導入実生茶樹群の収集 (国内探索収集報告)
- チャにおける硝酸同化能の遺伝的変異
- RAPD(Randomly Amplified Polymorphic DNA)によるチャ品種の親子関係の検定
- チャの育種レベルの飛躍的向上を目指したDNAマーカー等による早期選抜と世代促進を組合せた育種システム : 野菜茶業研究所枕崎茶業研究拠点におけるとりくみ
- 遺伝資源からスクリーニングされた高体細胞胚形成能を有するチャ栄養系'枕-Ck2'
- 正逆交雑集団を用いたチャの母性遺伝RAPDの検出
- 耐虫性, 耐寒性チャ品種'さやまかおり'の花粉親は現存しない可能性が高い
- チャ遺伝資源における子葉培養からの不定胚形成能の品種・系統間差異
- チャ品種の育成年度に応じた茶葉中の各種成分含量の変化
- DNAマーカーの育種への利用について--DNAマーカー育種の基礎と応用、そして将来展望 ("国際化に向けた"わが国種苗産業の成長戦略最前線)
- チャのペーパーポット育苗における挿し土の崩壊防止に関する研究
- 12-6 チャの品種の変遷と窒素容量および内質画分の変遷(12.農産物の品質・成分)
- チャのペーパーポット育苗時におけるせん枝処理が苗の分枝数増加と定植後の初期生育に及ぼす影響(栽培)
- 日本のチャ品種の一番茶萌芽期および休眠覚醒に及ぼす夜間照明の影響
- DNAマーカーのチャ育種への利用に関する研究
- 種間交雑によるアントシアニン高含有'茶中間母本農6号'の育成
- (81)チャ遺伝資源の炭疸病抵抗性の評価(平成16年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- (81)チャ中国導入系統'金-Ck17'の炭疽病抵抗性に関与するQTLの検出(平成15年度日本植物病理学会大会講演要旨)
- 世代促進とDNAマーカーによる早期選抜が木本性作物育種を変える
- 煎茶用中晩生品種'りょうふう'の育成
- フローサイトメトリーによるチャ(Camellia sinensis),ツバキ(C.japonica)およびその種間交雑種のゲノムサイズの推定
- 煎茶用中晩生品種りょうふうの育成
- チャのカルス培養とその特性
- チャのコンテナ内ペーパーポット育苗 : ポットの深さとコンテナの置床方法が挿し木苗の生育に及ぼす影響
- お茶(せん茶)の香りと品種
- コンテナ内育苗によるペーパーポット苗の根群域
- 茶品種シリ-ズ(6)静岡の民間育種の品種あれこれ
- 茶品種シリ-ズ(4)おくひかり,さわみずか,山の息吹,70-11-6(系統名)
- 茶のペ-パ-ポット育苗のやり方
- 2) チャの組織培養を利用した種苗大量増殖法
- 試験管内挿木法を用いたチャの大量増殖 : 腋芽の生育に及ぼす各種ホルモンの効果
- チャの茎切片培養における不定芽分化とその品種間差異
- チャ等のツバキ属植物の子葉培養における不定胚分化率の向上
- チャの茎切片培養における4種類のオーキシンがカルス化及び不定根分化に及ぼす影響
- チャ"やぶきた"の茎頂培養
- チャの器官別および茶期別,節間別茎切片の培養における根の分化とその品種間差異
- 新しい煎茶用品種つゆひかり
- 近赤外分光法による茶葉成分分析の簡易化
- 暖地向け緑茶用極早生品種'しゅんたろう'の育成とその特性
- 炭疽病・輪斑病複合抵抗性のやや早生緑茶用品種'さえあかり'の育成
- 12-6 日本における白葉茶の一番茶新芽の成分特性(12.植物の代謝成分と農作物の品質)
- チャ品種・系統における葉身傾斜角度と収量性との関係
- 日本で栽培されている白葉茶の一番茶新芽の化学成分含量
- 光強度がチャ新芽の葉色および成分に及ぼす影響
- 光照射がチャ培養細胞のアスコルビン酸含量及び抗酸化系酵素活性に及ぼす影響
- 日本のチャ品種の一番茶萌芽期および休眠覚醒に及ぼす夜間照明の影響
- 強遮光処理によるチャ新芽白葉化技術の各品種への適用
- 暖地向け緑茶用極早生品種'しゅんたろう'の育成とその特性
- 炭疽病・輪斑病複合抵抗性のやや早生緑茶用品種'さえあかり'の育成
- 12-3 チャの白葉化に伴うアルギニン代謝の変動(12.植物の代謝成分・農作物の品質,2012年度鳥取大会)