チャのカルス培養とその特性
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概要
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チャのカルスの誘導並びに増殖の促進を図るため,培養方法や培養条件について検討を行った。また,カルスの特性を把握するため,形態及び2,3の化学成分についても調査した。<BR>1) チャのカルスは,供試した全ての組織から誘導され,カルス形成には茎で9-14日,葉で約20日,子葉及び根で8-12日,葯で7-10日を要した。カルスの増殖は液体振とう培養では寒天静置培養に比べ著しく早く,培養50日後には新鮮重が前者は後者の約2倍となった。<BR>2) カルスの増殖に適した培地組成は寒天静置培養と液体振とう培養では必ずしも同じでなかった。多量無機成分の異なる5種類の修正培地(表1)を用いた場合の寒天静置培養ではNITSCH&NITSCHが,液体振とう培養ではGAMBORGの培地が優れていた。また,2,4-D濃度は寒天静置培養では1.0mg/lが,液体振とう培養では0,1mg/1が適した。<BR>3) カルスの形態は,寒天培地では表面が凹凸に富んだ固い組織塊として増殖した。他方,液体振とう培養では径0.5〜1.5cm程度の表面のなめらかな様々の大きさの球状塊となって発達した。また,振とう培養のカルスはBA濃度を無添加から10mg/1に高めることによりその大きさは約3/4となり,それとともに個数は2.3倍に増加した。<BR>4) カルス(葯由来)の無機成分の含有率は,葉に比較して,全窒素(5.46%),リン(0.23%)及びカリウム(2,34%)で多く,カルシウム(0,16%)とマグネシウム(0,17%)で少なかった。また,遊離アミノ酸としてはアスパラギン酸やグルタミン酸及びそれらのアミドなどの窒素同化初期産物の含量が多かった。有機酸類としては葉及び根と同様にカルスでもクエン酸,リンゴ酸及びコハク酸が検出された。特に,振とう培養カルスでクエン酸含量が多いのは根のそれに類似していた。<BR>5) カルス(葯由来)からカフェイン及びカテキンが検出されたが,それらは葉に比較して著しく低い含有率であった。しかし,テアニンは検出されなかった。
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