牧草炭水化物の生理化学的研究 : 第3報秋期間におけるオーチャードグラス葉鞘フラクトサンの重合度の変化
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概要
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9月下旬から12月上旬にわたって,オーチャードグラス葉中に含まれる炭水化物組成の消長が調べられた。85%エタノールに可溶性の炭水化物は葉鞘中で風乾物に対して5%前後,葉身中で5〜10%と実験期間を通じて比較的一定に保たれ,量的にはシュクロース,フラクトース,グルコースの順に多く含まれる。このアルゴール可溶区分には比較的短鎖のフラクトサン(DP.3〜6)も含まれ,全フラクトサンに対して,9月下旬〜10月上旬には3〜4%,10月下旬〜12月初旬には1〜2%の割合を占める。葉鞘中のフラクトサンは10月初旬の試料では風乾物に対して約10%にすぎないが以後次第に増加して12月下旬には50%以上に達する。葉身中のフラクトサンも同様冬期に近づくにつれて増加の傾向を示すが,含有率は葉鞘に比して低く12月初旬でも約20%に達するに過ぎない。葉鞘フラクトサンについてはその重合度の変動を,ゲル濾過法ならびにアルコール溶性区分法によってさらに検討が加えられた。10月初旬に採取した試料中のフラクトサンは,Sephadex G-75カラムクロマトグラフィにおいてDextran 10(Mn=57,000,DP.32)とDextran 20(Mn=15,000,DP.83)の間にまたがつて,かなり広範囲にわたって溶出した。他方12月初旬の試料中のフラクトサンはDextran 20とほぼ同等またはより早い速度で,しかも比較的狭い範囲で溶出した。オーチャードグラス葉中のフラクトサンは秋期間には,葉鞘に単に蓄積されるのみならず,集積量に応じて分子の重合度を増大した形で貯蔵されるものと推定される。
- 日本草地学会の論文
- 1970-07-30
著者
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