水稲新品種サオトメについて

概要

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1966年に米の自給率がほぼ達成されて以降, 良質米指向となり, 良品質・良食味の安定品種が望まれるようになった。他方北陸地域では従来からコシヒカリ, ホウネンワセ, 越路早生等によって良質米生産が行われてきたが, これらはいもち病耐病性・耐倒伏性等が問題点として指摘されており, また収量性についても十分ではなかった。特に早生品種については上記特性の改善が強く求められていたことから北陸農業試験場の水稲育種試験においても当時の主な育種目標として取り挙げられた。サオトメはこのような背景の中で1970年に交配されたものであり, 1986年から岐阜県の山間・高冷地帯でいもち病被害が問題化しつつあるアキユタカに替えて普及が計画され, 同年6月に水稲農林278号に登録・命名された。以下にこの品種の育成経過と主要特性について紹介する。育成経過1970年に(レイホウ×北陸84号)F_1を母親とし, トドロキワセを父親として交配を行った。以降世代促進と雑種集団の養成を行いF_4世代で個体選抜, F_5世代以降系統選抜を行った。1979年F_10世代で北陸113号の系統名を付して関係府県に配布し地域適応性を検討してきた。1986年でF_17世代である。
日本作物学会の論文
1987-03-31