タイおよびフィリピン産米の糊化特性

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前報で報告した,タイおよびフィリピンの現地で入手した米の,特に粳系統に見られた特異な糊化特性,すなわちアミロース含量の高低にかかわらず,老化性が高く,ブレークダウンの低い現象について,影響を与える要因を検討した。(1) α-アミラーゼ活性は,糯および中間糯系統と比べて粳系はいずれも10^<-3>オーダーで低かった。(2)DSCの糊化熱とアミロース含量の間には負(r=-0.788)の相関を認めた。(3)フォトペーストグラフィーによる透光度変化は,粳系統,糯および中間糯系統,低アミロース粳米(含量 : 17.0%)の3パターンに大別された。(4) RVAでは高アミロース米(含量 : 25.6〜30.4%)は精米粉試料で認められた著しく高い老化性が,澱粉および細胞壁分解・除去試料においても,その程度は低下しながらも認められたのに対して,低アミロース米(含量 : 17.0,17.9%)では,精米および玄米粉試料で認められた著しく高い老化性が,澱粉および細胞壁分解・除去試料においては著しく低下した。なお,低アミロース米の2試料間には粘度の挙動に差異が認められた。(5)アミロペクチン側鎖長分布は,系統間およびアミロース含量の差異による分画間の一定の傾向は認められなかった。(6)古米化は進行していたが,その程度は,低アミロース米(2試料)では著しいものではなかった。高アミロース米の老化性の高さは,従来の報告に符合していたが,精米粉(玄米粉)のアミロース含量の低い粳米に認められた高い老化性が,澱粉および細胞壁分解・除去試料では認められない現象については,古米化も関与していると推察されたが,それだけでは著しい老化性を説明できず,新たな検討が必要と思われた。
1997-02-20

タイおよびフィリピン産米の糊化特性

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