<原著論文>おむつ使用患者の臀部細菌汚染状況と清潔方法の検討その1

概要

論文の詳細を見る
本研究は,入院患者延べ47名を対象に,臀部の皮膚の汚染状況を細菌学的に調査し,その清潔方法の除菌効果を検討した。清潔方法は,石鹸清拭(A法)と0.5%ポピドンヨード温湯清拭(B法)の2種類とした。結果,1)おむつ装着患者の臀部細菌汚染度は,菌数が確認できた13プレートの平均コロニー数が97.8であった。2)安静度別臀部細菌汚染度は,安静度Iの患者の臀部汚染が安静度IIの患者より高い傾向にあった。3)性別臀部細菌汚染度は,男性より女性の臀部汚染が高い傾向にあった。4)バルンカテーテル挿入の有無別臀部細菌汚染度は,バルンカテーテルを挿入していない患者の臀部汚染が,挿入している患者より高い傾向にあった。5)オムツの種類別臀部細菌汚染度は,オープン型のおむつ使用患者の臀部汚染が,パンツ型使用患者より高い傾向にあった。以上2)から5)について有意差はなかった。6)臀部から検出された菌種は,日和見感染の原因菌,耐性菌であった。7)清拭前・後の除菌効果の比較では,2種類の清拭とも有意差はなかった。8)グラム陽性球菌は清拭後もプレート数の増加がみられた。また,清拭前には,検出されなかった菌種が清拭後に確認されていることから,菌の拡散が示唆された。
2002-03-29