骨格筋の疲労に関する筋電図学的研究 (IV) : 犬の後より駐立時における単一NMUの放電間隔時系列の解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. イヌを用いて, 骨格筋疲労の神経性機序を筋電図学的に検索した。すなわち, イヌに後より姿勢の維持を2時間賦課することによって筋疲労を発現せしめ, その間, M. flexor carpi ulnaris, ならびにM. gastrocnemiusから, 単一NMUの放電を経時的に記録し, これより放電間隔時系列を求めた。この時系列から, 緩慢な動揺, H型変動, R型変動を分離して取り出し, 方式に従ってそれぞれの変動に解析を加えた。2. 緩慢な動揺は, 実験開始後30分では, 振幅が正常時よりも著しく減少してほとんど平坦な経過を示すが, 1時間以後になると, 振幅は次第に増大し, そのうえ, 身体動揺とおおむね一致する, 大振幅の動揺が不規則に加わってきて, 全体の経過が極めて不安定になった。3. 不規則な変動のH型変動は, 初期には正常時よりも周期が短縮し, C曲線の傾斜は減少したが, 後半, 筋疲労の進行につれて, 次第に周期が延長し, C曲線の傾斜は増加した。4. 不規則な変動のR型変動は, 実験開始後30分∿1時間では, 2.5以下の周期を示すものが多いが, 1時間30分以後では, ほとんどが2.5以上の周期を示し, 疲労に伴い, 周期の延長するのが認められた。5. 以上の結果から筋疲労時には, まず, 求心性インパルスの減少により, 脊髄準位の自己調節機構の機能減退が起こり, ついで, 高位の神経機構が, 求心性インパルスの減少による情報の欠乏のために, その活動準位の動揺を増加するとともに, 筋の活動に対するその支配の割合を強めてくると解釈した。
- 神戸大学の論文
著者
関連論文
- 環境温度の変動に伴う鶏の血液成分の動態について(畜産学)
- 骨格筋活動におよぼす各種薬物の影響(畜産学)
- ウサギ末梢神経一筋系のgonyautoxinsによる機能障害
- Gonyautoxins によるウサギの不整脈および血圧下降
- 骨格筋活動におよぼす麻痺性貝毒の影響
- イヌの骨格筋活動に対する各種薬物の影響 : 単一NMUの放電間隔時系列の解析
- 石垣島産スベスベマンジウガニの毒性
- モルモット摘出腸管の運動に対するSaxitoxin群及びTetrodotoxinの影響
- カエル骨格筋の収縮性に対する麻痺性貝毒の影響
- 骨格筋活動におよぼす麻痺性貝毒の影響 : 単一NMUの放電間隔時系列の解析
- 骨格筋疲労に対する訓練の効果について
- ニワトリにおける骨格筋疲労の筋電図学的検討
- 骨格筋の疲労に関する筋電図学的研究.VII : 単一NMUの放電間隔時系列におけるH型変動に対する各種薬物の影響
- 骨格筋の疲労に関する筋電図学的研究 (VI) : 単一NMUの放電間隔に対する各種薬物の影響(畜産学)
- 骨格筋の疲労に関する筋電図学的研究 (V) : 骨格筋疲労に対する薬物の効果(畜産学)
- 骨格筋の疲労に関する筋電図学的研究 (IV) : 犬の後より駐立時における単一NMUの放電間隔時系列の解析
- ニワトリの寒冷ふるえに関する筋電図学的検討
- 低温曝露時における鶏の血液成分および肝臓,筋肉成分の動態について(畜産学)
- 家畜の通電に関する実驗的研究 (第II報) : 低電圧による犬の赤沈値及び赤,白血球数の変化について
- 家畜の通電に関する実驗的研究 (第1報) : 特に犬の致死電圧及び心搏動数に対する低電圧の影響について
- 頸動脈洞神経切断による意識下ウサギの血圧およびその安定性の変化
- 無麻酔下におけるウサギの血圧およびその変動性
- 骨格筋の疲労に関する筋電図学的研究 : VIII 単一 NMU の放電間隔時系列における R 型変動に対する各種薬物の影響(畜産学)
- 骨格筋の疲労に関する筋電図学的研究 (III) : 犬の後より駐立時における筋電図と単一NMUの放電間隔
- 高温高湿環境下における拘束鶏の直腸温,呼吸数および心電図の変化