骨格筋の疲労に関する筋電図学的研究 (III) : 犬の後より駐立時における筋電図と単一NMUの放電間隔
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概要
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1. 犬を用いて, 骨格筋疲労時における神経一筋系に起こる機能的変化を筋電図学的に検索した。まず, 犬に後より姿勢を賦課し, 駐立開始直後, ならびに駐立1時間30分後における抗重力筋の活動の分布を比較検討した。つぎに, 上記姿勢を2時間保持せしめ, その間, M. flexor carpiulnarisならびにM. gastrocnemiusから, 放電叢と単一NMUの放電を経時的に記録した。この記録より放電間隔時系列を求め, これらに, τ-S曲線法を適用して, 分析的考察を加えた。2. 後より姿勢の保持には多くの筋が活動した。なかでも, 頸背側筋群, M. triceps brachii, M. biceps brachii, M. quadriceps femoris, M. gastrocnemiusの活動は顕著であった。駐立直後における筋の活動の分布と駐立1時間30分後のそれとの間には, さほど差異はみられなかった。ただし, 駐立直後には非活動的であったM.glutaeus, M. sartoriusには中等度の活動が発現し, また, M. rectus femoris, Mm. adductores, M. biceps femorisには活動の増加, M. quadriceps femorisには活動の減弱が起こった。3. M. flexor carpi ulnarisおよびM. gastrocnemiusは, 駐立後30分では, 駐立直後の放電よりも, はるかに密度の高い放電, すなわち強直筋によくみられるような放電を示したが, 駐立後1時間では, 群化の傾向を示す放電を現わし, 駐立後1時間30分∿2時間を経過すると, 完全な群化放電を頻繁に示した。4. M. flexor carpi ulnarisおよびM. gastrocnemiusより得られたτ-S曲線は, 駐立後30分∿1時間30分までは, 正常時よりもかなり右偏して分布し, spinal化の現象を示したが, その後, 筋疲労の進行に伴って, 分布は漸次左方に偏位し, cortical化の現象を現わすようになった。
- 神戸大学の論文
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