抗生物質の全身投与と動脈内注入療法を併用した慢性硬化性下顎骨骨髄炎の1例

概要

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われわれは, 慢性硬化性下顎骨骨髄炎の1症例に対して, 抗生物質の全身投与と動脈内注入療法を併用した治療を行ったので報告する。患者は64歳, 女性。過去に腐骨除去術, 皮質骨除去術などの手術を4回施行された。しかし, 手術後4か月から1年以内に再燃を見た。今回は, ラタモキセフ(LMOX)動脈内投与(400mg/day)と同時に, LMOX(1,600mg/day), ホスホマイシン(FOM)(4g/day), クリンダマイシン(CLDM)(600mg/day)を静注で1日2回, 26日間投与した。抗生物質の動脈内投与は, 浅側頭動脈から逆行性に挿入したカテーテルによって行われた。治療後, 臨床症状, およびX線写真, 骨シンチグラムにて改善が認められた。患者は3年間無症状に経過した。これは以前施行した手術療法の奏効期間よりも長期であったことから, 抗生物質の全身投与と動脈内投与の併用療法は, 難治性の慢性硬化性下顎骨骨髄炎に対して有用な治療法であると思われた。
東北大学の論文