多臓器転移と高カルシウム血症をみた舌癌の1例

概要

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79歳, 男性で舌の高分化型扁平上皮癌症例にて高カルシウム血症を伴い全身転移を生じて死亡した。術前化学療法(FC療法), 全麻下にて左側舌半側切除術, 左側全頚部郭清術, 前腕遊離皮弁による舌即時再建術および気管切開術, 術後化学療法を施行した。術後5か月に右側頚部リンパ節転移を認め, 右側全頚部郭清術を施行し, 両側頸部に術後照射した。その後, 高カルシウム血症および腎機能不全を合併し意識障害を呈した。アレデイ^(R)および利尿剤を使用し, 意識障害は改善したが, DIC症状および多臓器不全にて死亡した。剖検所見では, 原発巣および両側頚部に, 腫瘍の残存および再発を認めなかった。遠隔転移は, 両肺, 心, 両腎, 両副腎, 脾, 肝, 膵および旁気管リンパ節に認められた。本症例では, 局所制御はできたが遠隔転移は制御することができなかった。それゆえ, 遠隔転移に対していかに制御するかが今後の課題と思われ, そのためには, 初回に有効かつ十分な化学療法を行うことが重要と考えられた。また抗副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)抗体を用いた免疫組織化学検索では, 腫瘍細胞内にPTHrP陽性像を認め, PTHrPの高値による高カルシウム血症と考えられた。
東北大学の論文