1992年に実施した東南極ド-ムF周辺部の重力測定
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概要
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第33次南極地域観測隊(JARE-33)により, 南極氷床内陸域への掘削地点選定旅行が実施された。本旅行は「南極氷床ドーム深層掘削観測計画」の一環として行われたものである。旅行期間中には各種の地球物理学的観測が行われたが, 特に掘削地点選定の一環としてアイスレーダを利用した基盤地形の連続探査を実施した。同時にラコスト重力計(G-515)による重力測定をルート上で適宜行ったので, ここに報告する。1992年9月21日から12月29日にかけて, 昭和基地重力計室内の絶対重力基準点(69.0°S, 39.6°E : g=982524.244mgal)を起点としてドーム頂上(77.4°S, 39.6°E)とを往復測定した。雪上車の振動や保温対策に細心の注意を払ったにもかかわらず, 少なくとも2カ所でテアの発生が確認された。これは内陸域での延べ100日に及ぶ長期旅行期間中に, 重力計のバッテリーへの電源供給を絶つことを余儀なくされたためである。したがってテアの補正と地球潮汐, ドリフト補正を行った後に重力異常を計算した。計算されたフリーエア異常に含まれる誤差は6mgal程度と思われ, 測定高度誤差(10m)とジオイド高一定の仮定の不確かさ(10m)が反映している。また, ブーゲ異常に含まれる誤差は13mgal程度と思われ, 氷厚測定誤差(100m)によるブーゲ補正誤差と上記のフリーエア補正の誤差が反映している。旅行ルート上でのアイスレーダから求められた基盤地形高度の極大値と, 計算された重力異常の極大値, 特にフリーエア異常の極大値が良い対応を示した。ドーム周辺域では数10kmの領域で比較的密に観測を実施したが, 基盤地形高度とフリーエア異常の相関が良いことが確認された。ドーム頂上周辺部では基盤地形高度が増大し中央部が盆地状に低下していることがアイスレーダによる連続観測から示されたが, フリーエア異常のデータもこの結果を支持している。
- 国立極地研究所の論文
著者
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金尾 政紀
情報・システム研究機構国立極地研究所
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前野 英生
通信総合研究所
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前野 英生
通信総合研究所 電磁波計測部門 環境データシステムグループ
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古川 晶雄
情報・システム研究機構国立極地研究所
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神山 孝吉
国立極地研究所
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東 久美子
北海道大学応用電気研究所
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古川 昌雄
極地研
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金尾 政紀
京都大学防災研究所
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古川 晶雄
名古屋大学大気水圏科学研究所
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