低バックグラウンド液体シンチレーション法による極域雪氷試料中のHTO濃度測定

概要

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トリチウム(T)は水素(H)の放射性同位元素であり, 地球上では原子炉や大気上層部での原子反応で作り出されている。Tは天然水中では主にHTOとして存在しており, 降水中のHTO濃度は水圏おもに大気中における生成と水蒸気の輸送過程に依存し地域的にも時間的にも変動を生じている。また大気中のHTO/H_2Oの割合は決して一様ではなく成層圏や北半球に偏在している。大気中では地球的規模で1960年代に一時的に増加しており, 当時の積雪中の濃度に反映され極域雪氷中に保存されている。液体シンチレーション法は溶液試料中のHTO濃度の測定に有効である。ここでは主に液体シンチレーションシステムLSC-LB3を利用したHTOの測定技術と得られた値の評価方法について議論する。この議論は野外での試料採取計画作成に有効であり, 同時に測定結果に基づいた解析に対してその有効性と限界を提示するものである。また測定結果の一部として極域雪氷試料中のHTO濃度について紹介し, 極域での雪氷堆積環境, さらにはグローバルな水循環の研究についてHTO測定結果の利用の有効性について検討した。