みずほ高原の大気,表面積雪中の化学成分の挙動
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概要
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南極昭和基地の大気エーロゾルを1988,1989,1990年の3年間にわたり連続観測した。エーロゾル粒子に含まれる化学成分の内, exSO_4^<2->, MSA, NH_4^+等の成分が夏に高く冬に低い季節変化をする事を明らかにした。またガス状のHCl, SO_2,HNO_2,HNO_3の季節変化を明らかにし, 非常に高濃度のHClガスが夏期に出現し, 他の成分もエーロゾルに近い濃度になる事を示した。みずほ高原内陸および海上の大気エーロゾルの粒径分布を明らかにした。exSO_4^<2->とMSAは共に0.35μmに極大粒径を持ち, ガス体から生じた2次粒子であると思われる。ほとんどの大気エーロゾルは海塩に比較して負のexCl^-を示し, Cl^-がNa^+に対して欠損していることが認められた。みずほ高原内の5点における積雪ピットの観測から, 化学成分の季節変化は内陸の観測点でδ^<18>O, Cl^-およびNa^+につき見いだされた。飛雪では, Cl^-, Na^+, exSO_4^<2->, NO_3^-, MSA等の成分が海側で高く, 内陸に向かって減少し, 更に内陸で反転上昇し, 内陸に別の供給源があることを示唆した。ほとんどの雪は正のexCl^-を示した。みずほ高原の大気エーロゾルと対応する雪の間には, 化学成分濃度の比例関係がほぼ認められ, 積雪は大気エーロゾル中の濃度を大まかに反映している。しかしexCl^-, Ca^<2+>, K^+などはこの関係を満足しない場合が多いので, 地表の大気エーロゾル以外に高層大気からの寄与も考慮する必要がある。
- 国立極地研究所の論文
著者
-
本山 秀明
情報・システム研究機構国立極地研究所
-
西川 雅高
国立環境研究所
-
本山 秀明
国立極地研究所
-
渡辺 興亜
国立極地研
-
神山 孝吉
国立極地研究所
-
本山 秀明
極地研
-
渡辺 興亜
極地研
-
本山 秀明
情報・システム研究機構 国立極地研究所
-
本山 秀明
National Institute of Polar Research
-
金森 暢子
国立極地研究所
-
金森 悟
名古屋大学大気水圏科学研究所
-
金森 暢子
名古屋大学理学部水質科学研究施設
-
渡辺 興亜
極地研究所
-
東 久美子
北海道大学応用電気研究所
-
金森 暢子
名古屋大学水圏科学研究所
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