マウスにおける生下時褐色脂肪組織部分摘除の体液性ならびに細胞性免疫の成立に及ぼす影響
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概要
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ddマウスを主とし,一部にC3H/He系とC57BL/6系ならびにBALB/c系マウスを用いて,出生24時間以内に左右肩甲骨間の褐色脂肪組織を外科的に摘除した。これらのマウスが成熟した後,その体液性ならびに細胞性免疫反応を調べることを目的とした。体液性免疫の成立能を調べるためにヒツジ赤血球(SRBC)接種後の溶血斑形成脾細胞(PFC)の数をJerne法に準じて測定するほか,フラジェリン接種後のimmobilizing antibody価を測定したところ,SRBC接種9日後の間接法のPFCの数は非摘除群との間で有意差が認められなかつたが,4日後の直接法のPFC数とimmobilization testの値は摘除群の方が有意に増加していた。他方,細胞性免疫反応を調べるために実施したpicryl chloride塗布やovalbuminをFreund完全アジュバントに混合して接種した後の遅延型アレルギー反応や,腸炎菌弱毒生菌免疫後の強毒株攻撃に対する感染死防御効果の検査では摘除群の免疫反応の方が有意に増強していた。なお,未処置マウスにつき経時的に褐色脂肪組織を切除して組織学的変化を光顕的に調べたところ,出生3週後より退行変性像が明らかとなり,6ヵ月後では褐色脂肪細胞の大部分が成熟脂肪細胞に置換していることがわかつた。かかる成績は,細胞性免疫の成立に関する限りにおいてはJankovicらの成績と一致したが,抗体産生能に関しては一致しなかつた。
- 日本細菌学会の論文
著者
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大沢 伸孝
北里大学医学部・微生物学
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秋山 武久
北里大学医学部・微生物学
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山浦 昇
北里大学医学部・微生物学
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北里 正治
Student at Kitasato University School of Medicine
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牛山 義浩
北里大学医学部微生物学教室
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秋山 武久
北里大学医学部微生物学教室
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山浦 昇
北里大学医学部微生物学教室
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大沢 伸孝
北里大学医学部微生物学教室
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