感染症に対するリポソーム封入抗生剤の治療効果 : 1.マウスにおける実験的チフス症に対するリポソーム封入ストレプトマイシンの治療効果
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概要
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マウスにおける実験チフス症の治療にリポソームに封入したストレプトマイシンならびに抗O血清を投与し,次のような結果を得た。1.腸炎菌S型強毒株を経静脈的にマウスに感染させてから24時間以上経過した場合には,ストレプトマイシン単独を繰返し投与しても制菌効果が認められないことは周知されているが,リポソームに封入したストレプトマイシン-25mg力価/kg体重に調整したものを感染24時間後に1回のみ-を静脈から接種すると,強い制菌効果が発揮されて動物は全員生残した。2.ただし,大腿筋肉内に感染後24時間経過してからリポソーム封入ストレプトマイシンを経静脈的に投与した時には制菌効果は得られず,制菌効果は菌と抗生剤封入リポソームとが同じ貪食細胞に捕食された場合にのみ発揮されることが示唆された。3.抗O血清を封入したリポソームを静脈から接種しておいてから,腸炎菌を経静脈的に攻撃した場合には,所謂 "菌清掃現象" は認められず,貪食細胞としての腹腔マクロファージと肝臓・脾臓の定着マクロファージの機能に質的な差異のあることが窺がわれた。
- 北里大学の論文
- 1986-08-31
著者
-
笹原 武志
北里大学医学部微生物・寄生虫学
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笹原 武志
北里大学医学部微生物学
-
笹原 武志
北里大学 微生物
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笹原 武志
国立病院機構横浜医療センター 皮膚科
-
秋山 武久
北里大学医学部・微生物学
-
河合 真弓
北里大学医学部・予防医学系
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