紫外線照射による流水への殺菌効果とその持続性についての研究
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概要
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紫外線の流水に対する殺菌効果が,数種の対象菌を用いて実験的に調べられた。一部の実験では,紫外線ランプを水中で長期間使用していると,石英製のランプ保護管に水垢が付着して,紫外線の殺菌効果を減弱されるという問題を取り上げ,人為的に水垢を付着させた保護管を用意して,水垢の殺菌効果に及ぼす影響が検討された。紫外線の殺菌効果は,常に,照射された紫外線エネルギー量との相互関係を求めながら判定された。その結果,紫外線照射は大腸菌,緑膿菌,腸炎菌に対しては強い殺菌効果を示すものの,ブドウ球菌に対しては,やや,その効果の低下することが認められた。しかし,この場合でも,効果の低下は紫外線ランプの通常の使用を妨げる程のものではなかった。水垢を付着させると,当然,照度は低下するが,紫外線ランプの出力を上げて,照度を回復させると,殺菌効果も回復し,同一の照度がえられた場合には,水垢の有無とはかかわりなく,両者の殺菌効果に有意差を認めえないことも分かった。実験の途中,紫外線に耐性を示す菌株が分離され,この菌株に対する,紫外線抵抗性検査,熱抵抗性検査ならびに生物学的性状検査が行われた。その結果,この菌株は紫外線に対して強い抵抗性を示すものの,熱抵抗性には変化が認められなかった。生物学的性状検査では,緑膿菌に類似した性状が認められるので,緑膿菌の変異株ではないかと思われたが,最終的な同定は未だえられていない。
- 北里大学の論文
- 1989-04-30
著者
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