細菌検査室における検査情報のシステム化について :〔2〕臨床由来分離菌とその薬剤感受性
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概要
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昭和56年(1981年)から北里大学病院・臨床検査部細菌検査室において分離された細菌種の分離頻度と薬剤感受性について解析を行った。当院では年間30,000件以上の検体を扱い,その約41%に細菌が検出された。伝染病など単一菌の感染で重篤な感染症を引き起こすチフス菌,赤痢菌などの細菌の検出は非常に少なかった。検出菌株数の上位は昭和58年(1983年)まではPseudomonas aeruginosaが第1位を占めていたが,昭和59年(1984年)以降はStaphylococcus aureusが検出菌の第1位を占めた。第2位はP. aeruginosa,第3位にはEnterococciが検出された。当院では昭和58年(1983年)から第3世代セフェム剤の使用量が増加した。S. aureusはヒトに対して単一感染で病原性を示すが,検出菌の上位を占めているP. aeruginosa, Enterococci, S. epidermidis, Escherichia coliなどは低病原性菌であり,これらの菌による感染は宿主の状態と密接な関係にある。検出された細菌の各種薬剤に対する感受性を一濃度ディスク法を用いて調べた。昭和58年(1983年)の全検体から見いだされたS. aureusの各種薬剤に対するヒストグラムを記載した。ミノサイクリンに対するヒストグラムは感受性域に一峰性の山が見られ,ついでクロラムフェニコール,アミカシンに感受性のあることがわかった。他の薬剤に対しては二峰性を示し,耐性菌が存在することを表していた。又,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)も高頻度で検出されている(メチシリンが不安定なためオキサシリンに対する耐性値を検査した)。今後の耐性菌の増加の背景を解析するための資料としたい。
- 北里大学の論文
- 1991-02-28
著者
-
平田 泰良
北里大学病院臨床検査部
-
平田 泰良
北里大学病院・臨床検査部細菌検査室
-
大谷 英樹
北里大学医学部臨床病理学
-
鶴田 陽和
北里大学医学部・医用情報学
-
鶴田 陽和
北里大学大学院医療系研究科医療情報学:北里大学医療衛生学部
-
大谷 英樹
総泉病院内科
-
平田 泰良
北里大学病院検査部
-
大沢 伸孝
北里大学医学部・微生物学
-
大谷 英樹
北里大学医学部臨床病理
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