正期産における羊水中サイトカイン濃度の検討

概要

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インターロイキン(IL)-1β,腫瘍壊死因子(TNF)-α,IL-6の分娩発来への関与に関して検討する目的で帝王切開21例,自然分娩発来19例,分娩誘発23例の羊水中濃度を測定し,以下の結果を得た。1.陣痛の有無と羊水中濃度自然分娩発来例の羊水中ではIL-1β,TNF-α,IL-6はいずれも分娩発来前の予定帝王切開例にくらべて有意に高値であった。分娩誘発例のIL-1β,IL-6濃度は予定帝王切開例にくらべ有意に高値で,またIL-6濃度は自然分娩発来例にくらべ有意に低値を示した。2.分娩発来からの時間との関係自然分娩発来例,分娩誘発例とも,分娩発来よりの時間と各サイトカインの羊水中濃度の間には正の相関関係を認め,分娩時には人工破膜時にくらべて有意な上昇を認めた。3.頸管開大度との関係自然分娩発来例でTNF-αと羊水採取時の頸管開大度との間に正の相関がみられた。また分娩誘発例ではIL-1β,TNF-α,IL-6いずれも頸管開大度とは正の相関関係を認めた。以上より妊娠正期の分娩発来,分娩進行にサイトカインが関与する可能性が示唆された。
北里大学の論文
1992-12-31