胎児動脈血酸素飽和度(F-SpO_2)モニタリングの有用性と安全性
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概要
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胎児動脈血酸素飽和度(F-SpO_2)モニタリングの有用性と安全性に関して63例を対象に検討を加え以下の結果を得た.なおF-SpO_2は反射型センサーFS-14(LEDs:735/890nm)を胎児頬〜側頭部に装着, 子宮壁との間に留置し, 胎児用にキャリブレーションしたパルスオキシメータN-400(Nellcor Puritan Bennett Inc.)により測定しCTG曲線上に連続的に記録した.1.センサーの装着は子宮口開大3cm以上, 児頭の下降Sp-2以上で容易であった.装着部に一致して, 発赤, 圧痕などのマーキングを8例, 12.7%に認めたが12時間以内に自然消失した.発熱, 組織損傷, 出血などモニタリングに伴う母児の副作用はみられなかった.2.センサー装着時間(平均220分)の73%で判読可能な記録が得られ, 正常例(n=43)の分娩第一期F-SpO_2は50.1±8.0(M±SD)であった.3.CTG所見により胎児ジストレスと診断し, 急速逐娩を行った臍帯動脈血pH(Ua-pH)は7.09±0.10で, 娩出前10分間のF-SpO_2は31.4±11.6%であった.4.娩出前10分間のF-SpO_2が30%以下の場合(n=8)のUa-pHは7.10±0.17でFHR所見の有無にかかわりなく30%以上であった例(31〜40%, n=16:7.27±0.06, 41〜50%, n=22:7.29±0.07, 51%≦, n=17:7.29±0.06)に比べて有意にアシドーシスの傾向にあった(p<0.05).5.Ua-pH<7.20の予測に関してF-SpO_2のカットオフ値を30%とすると感度, 特異度, 陽性的中率, 陰性的中率はそれぞれ50%, 94%, 63%, 91%であった.F-SpO_2モニタリングの併用により的確な胎児評価を安全に行い得ることが示唆された.正常胎児の分娩時F-SpO_2の下限値は30%前後と推察されるがアシドーシスに移行する閾値とその持続時間に関してはさらに多数例での検討が必要になる.
- 1998-07-01
著者
-
天野 完
北里大総合周産期母子医療センター
-
鈴木 健治
神奈川産婦人科内視鏡下手術研究会
-
天野 完
北里大学医学部産婦人科
-
西島 正博
北里大学
-
西島 正博
北里大学医学部産婦人科
-
鈴木 健治
けいゆう病院
-
雨宮 清
けいゆう病院
-
平野 聡子
北里大学医学部産婦人科
-
雨宮 清
けいゆう病院産婦人科
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