エストロゲンもしくは活性型ビタミンD_3投与後の骨塩量の変動

概要

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加齢・閉経に伴う骨塩量(BMC)の推移を検討し, 閉経後の症例に対するエストロゲン, 活性型ビタミンD_3投与の効果に関して検討を加えた. なおBMCはQCTによつて評価した. 1. 45〜49歳の閉経例のBMCは158.4±42.0mg/cm^3と月経を有する例の192.3±27.1mg/cm^3に比べて有意に低値であった. 閉経後2年でBMCは閉経前に比べて17%, 10年で30%, 20年で55%の減少がみられた. 2. 閉経前両側卵巣摘出例の術後2〜3年のBMCは, 比較的早期よりのエストロゲン補充療法を受けた群(12例, 平均48.8歳)で164.8±28.3mg/cm^3と受けなかつた群(8例, 平均47.4歳)の126.7±12.4mg/cm^3に比べて有意に高値であった. 3. 閉経後の症例に対する6カ月間のエストロゲン(プレマリン^<(R)> 0.625mg)投与ではBMCにはほとんど変化はみられなかつた. 活性型ビタミンD_3(アルファロール^<(R)>1μg)の3カ月間の連続投与では6例中3例で10%以上のBMCの減少がみられたが, 6カ月以上の投与では7例中3例で変化なく, 4例に10%以上のBMCの増加を認めた. 閉経前両側卵巣摘出例に対するエストロゲンの補充療法により骨塩量の維持が可能であり, 閉経後の症例に対してもエストロゲン, 活性型ビタミンD_3の積極的, 長期投与が意義ある可能性が示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1992-07-01