子宮頚部腫瘍に対するレーザー療法後の副作用に関する検討
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概要
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子宮頚部腫瘍659例に対し, 種々のレーザーによる蒸散法(395例)又は円錐切除術(264例)を施行した. 術中と術後の副作用について各種レーザー, 局所麻酔(以下, 局麻)の有無に分け検討した結果, 外来における局所麻酔下での両法の有用性を以下のごとく認めた.1) 外来で行った639例は全例(うち局麻:62.3%)その実施が可能だった. 2) 術中, 下腹部の疼痛と熱感の両者を訴えたものが, レーザー蒸散法(以下, 蒸散法), レーザー円錐切除術(以下, 円切術)とも最も多く, 各々64.6%, 60.7%だった. 各種レーザー間では明らかな差異はなかった.局麻使用群で, 蒸散法の2.9%と円切術の4.0%は疼痛, 熱感とも全く認めなかった. 3) 術中の止血に難渋し他の方法を併用したものは, 蒸散法でCO_2レーザー(以下, CO_2)が12.8%と最も多く, YAGレーザー(以下, YAG)は1.6%, YAG/CO_2同軸同時照射レーザー(以下, YAG/CO_2)では認めなかった. 一方, 円切術では, 同様にCO_2が32.3%と最も多く, 次にYAGの2.1%, KTP/YAGレーザー(以下, KTP/YAG)では認めなかった. 4) 蒸散法での誤照射は3.3%(YAG:4.9%, YAG/CO:3.3%, CO_2:2.9%), 一方, 円切術における膣又は外陰への小火傷は7.2%(YAG:12.1%,KTP/YAG:7.1%,CO_2: 0%)だった. 5) 術後, 下腹痛の訴えが強いものに対して鎮痛剤を投与した頻度は, 蒸散法で1.3%(YAG:3.3%,CO_2:0.8%, YAG/CO:1.1%), 円切術では2.5%(YAG:1.7%, CO_2:4.2%)だった. 6) 術後約2週間創部からの出血に処置を要したものは, 蒸散法で14.7%(CO_2:18.2%, YAG/CO:10.9%, YAG:6.6%)だった. 一方, 円切術では11.0%(YAG:12.1%, CO_2:11.5%, KTP/YAG:3.6%)だった. なお, 止血が不完全のため入院となったものは, 各々0.8%(CO_2:0.8%, YAG/CO_2:1.0%), 0.8%(YAG:1.4%)だった. 7) 細綿棒挿入不能例を頚管狭窄と定義したところ, 蒸散法では3.8%(YAG:9.8%, CO_2:2.9%, YAG/CO:2.2%)だった. 円切術では8.6%(YAG:14.5%, CO_2:1.1%, KTP/YAG:7.4%)だった. 8) 創部の感染は, 蒸散法ではなかったが, 円切術の0.8%(YAG:0.7%, CO_2:1.0%)に認め, 膣内容培養で大腸菌が同定された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-07-01
著者
-
蔵本 博行
北里大学医療衛生学部臨床細胞
-
蔵本 博行
北里大学医療系研究科臨床細胞学
-
西島 正博
北里大学医学部産婦人科
-
脇田 邦夫
北里大学医学部産婦人科
-
佐々木 紀充
北里大学医学部産婦人科
-
佐々木 紀充
北里大学 産婦人科
-
泉 貴文
北里大学医学部附属病院 産婦人科
-
脇田 邦夫
北里大学 産婦人科
-
蔵本 博行
北里大学医学部産婦人科学教室
-
泉 貴文
北里大学医学部産婦人科学教室
-
蔵本 博行
北里大学医学部産婦人科
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