正常子宮内膜および子宮体癌における基底膜構成蛋白とCathepsin Dの発現状態からみた生物学的悪性度の検討
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概要
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基底膜構成蛋白であるLaminin, Type IV collagenと,蛋白分解酵素であるCathepsin-Dの発現を,正常子宮内膜,子宮体癌において観察し,間質浸潤,筋層浸潤部位での三者の発現様式や病理組織学的分化度との関係について免疫組織学的に検討した。さらにWestern-Blotting解析法を用い,組織中のCathepsin-D発現状態を比較検討した。(1)Type-IV collagenとLamininは,正常子宮内膜では腺管周囲基底膜および血管内皮細胞に一致して発現しており,基底膜における染色形態は均一で連続性を有していた。子宮体癌では基底膜に一致して発現していたが,不均一で,一部断裂,欠損した染色態度を示し,特に間質浸潤,筋層浸潤の部分でその傾向が強かった。(2)Cathepsin-Dは,正常子宮内膜では一部の症例で細胞質内に染色されたのみであったが,子宮体癌では細胞質内の特に間質浸潤や筋層浸潤を示す部分でより強くび漫性に染色された。正常子宮内膜では,Cathepsin-Dの発現は10症例中7症例(70%)が陰性であったのに対し,子宮体癌組織では24症例中,22症例(92%)が陽性を示し,組織分化度の低いものほどCathepsin-Dの染色頻度が高まる傾向がみられた。(3)分子量48 kDのCathepsin-Dは,正常子宮内膜,子宮体癌組織ともに,ほぼ全例に発現していた。しかし,分子量34kDのCathepsin-Dは,正常子宮内膜においては,子宮筋腫を合併し混合型内膜と判定された症例の2例を除き発現が認められなかったのに対して,子宮体癌組織では,高分化型腺癌の2症例を除いて発現が認められ,比較的低分化のものに強かった。その結果,子宮体癌の初期浸潤,転移に関しては分子量34kDのCathepsin-Dと基底膜構成蛋白の相互作用が重要であることが明らかになった。
- 北里大学の論文
- 1995-12-31
著者
-
蔵本 博行
北里大学医療衛生学部臨床細胞
-
秦 宏樹
北里大学医学部産婦人科
-
蔵本 博行
北里大学医療系研究科臨床細胞学
-
戸賀崎 義明
北里大
-
秦 宏樹
北里大学 産婦人科
-
戸賀崎 義明
北里大学医学部・産婦人科学
-
蔵本 博行
北里大学医学部産婦人科学教室
-
蔵本 博行
北里大学医学部産婦人科
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