子宮頚部物性の客観的評価法の確立とその臨床的意義
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概要
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新しくTENSIPRESSERを応用して極めて高い再現性を有する子宮頚部硬度計"Cervical Texturometer"を開発して,子宮頚部物性の客観的評価法を確立し,種々の臨床応用を試みた. 1.子宮頚部物性評価の指標として,子宮頚部への一定歪負荷により得られる応力緩和曲線から,初期応力H(0)を主として弾性成分をあらわす硬度"Hardness"と考え,100g加重の際の応力を20硬度単位"Consistency Unit, C.U."とし,さらに歪負荷10秒後の応力H(10)とH(0)との比を粘性成分をもあらわす粘弾性指数"Viscoelastic Index, V.E.I."と規定した. 2.妊娠に伴い子宮頚部組織コラーゲンは疎に分布し,基質の拡大が著明で,妊娠正期例では非妊時に比較してウロン酸量の増加(4.501±1.408 VS 2.444土0.688μg/mgd.w.,p<0.001),含水量の増加(85% V S80%, P:NS),ハイドロキシプロリン量の減少(0.166±0.049 VS 0.301±0.058μmole/mg d.w., pく0.001)が特徴的でウロン酸・ハイドロキシプロリン比はC.U., V.E.I.のいずれともよく相関した. 3.非妊時には加齢とともにC.U.,V.E.I,は高値の傾向を示し,妊娠正期では初産例は経産例に比べC.U.は高値を示した.妊娠経過に伴ってC.U.は段階的に低値を示すが37週以降は著明な変化はみられない.自然陣発例でも分娩発来に向けてC.U.の低下がみられるが分娩前2〜3週には余り大きな変化はない.35週頃より自発子宮収縮出現頻度は増加し,36週頃より内診スコアの上昇がみられる.母体末梢血ホルモン値との関連では,分娩前7〜6週にかけてのエストラジオール値の上昇に一致してC.U.の低下傾向がみられた. 4.分娩誘発例では前処置時C.U.≧30, V.E.I.≧0.65の場合は誘発一分娩時間は有意に延長し,DHAS200mg 1週毎2回投与によりC.U., V.E.I.は有意に低値となることから,37週の時点でC.U.≧30, V.E.I.≧0.65の場合は頚管熟化不全としてDHAS投与が望まれる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-02-01
著者
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