キャベツ葉の繊維化度の異なる部位のアラビノガラクタンプロティン
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概要
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キャベツの葉(内葉,中葉および外葉)ならびに葉脈(内・中葉,および外葉の葉脈)の5つの部位について,水溶性成分中に含まれているアラビノガラクタンプロティンの分布と性質を分析した結果次のことが明らかになった. (1) キャベツ葉および葉脈は内葉から中葉・外葉へと繊維化が進行しており,それに伴い水溶性成分中の糖含量が低下した.これに対し,水溶性成分中のタンパク質については,キャベツの繊維化との相関関係は認められなかった.これらの水溶性成分中の糖およびタンパク質はそれぞれ99%および97%以上が透析可能な低分子量物質であった. (2) 水溶性成分中のアラビノガラクタンプロティンの分布をゲル濾過で分析した結果,内葉および中葉には分子量の異なる2種のアラビノガラクタンプロティン(A-IとA-II)が含まれていたが,外葉には高分子量のA-Iが含まれておらず,低分子量のA-IIの含量も低かった.一方,葉脈にはA-Iが全く含まれていなかつた. A-IIは内・中葉の葉脈に少量含まれているにすぎず,外葉の葉脈においてはA-I, A-II共に含まれていなかった. (3) 外葉のA-IIの電気泳動パターンと内葉および中葉の泳動パターンとに差が認められたことから,キャベツの部位により分子種の異なるアラビノガラクタンプロティンの存在が示唆された. (4) A-IおよびA-IIのガラクトースとアラビノースの比は繊維化に伴い高くなる傾向が認められた.一方,ヒドロキシプロリンの含量は低下する傾向があり,グリシンやアルギニン含量が増加した. (5) 水抽出前の試料と抽出後の残渣についてアラビノース,ガラクトースおよびヒドロキシプロリンを定量したところ,いずれの部位についてもキャベツの繊維化の進行に伴い,残渣中に含まれる量が高くなることが明らかになった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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