<論文>リグノセルロースのマイクロ波照射 : (第3報)マイクロ波加熱された生材および乾燥材チップの酵素反応性
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概要
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ポプラの生材および乾燥材チップをマイクロ波加熱し,酵素糖化に対する反応性を木粉の場合と比較検討した。マイクロ波の照射とともに試料温度が上昇し,酸とフルフラールポ生成した。230℃ではPHは3.2〜3.5に低下し,酸とフルフラールの生成量はそれぞれ0.8〜1.8 meq および0.2〜0.5%であった。ヘミセルロースはオートヒドリシスをおこし,単糖と重合度が8〜2のオリゴマーに分解した。マイクロ波加熱による還元糖の生成は,180℃以上の温度でのみ認められ218〜233℃で最高値を与えた。一方,水可溶性成分量は160℃より上昇し始めた低240℃以下の温度では最高値に達しなかった。同様の結果がポプラの木粉やブナの乾燥チップについても得られた。次に,マイクロ波加熱後酵素糖化を試みたところ,いずれの試料においても160℃以上の温度で糖化率が上昇し,240℃以下では最高値を与えなかった。ポプラの乾燥チップでは米粉の場合と同様に糖化された低ポプラの生材チップではブナの乾燥チップと同様酵素糖化に対し抵抗性を示した。しかしながら,これらの試料については,加熱温度を10〜30℃さらに上昇させ240〜260℃にすることにより米粉と同一レベルまで糖化率を向上させることができた。以上の結果から,マイクロ波加熱は末松のみならずチップ状試料についても酵素糖化に先だつ前処理として有益であると結論された。
- 京都大学の論文
- 1985-02-28
著者
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