比較的低水分下でのタンパク質の熱的性質

概要

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比較的低温で熱変性を起す代表的な3種のタンパク質として,牛皮コラーゲン,卵白アルブミンおよび牛血清ヘモグロビンを選び,水分収着量を2〜91%の間で段階的に変えて示差熱分析を行った.このときのタンパク質の種類とその水分量に応じて明瞭な吸熱ピークが検出され,この吸熱開始点を熱変性温度として測定することができた.各タンパク質の水分収着量と熱変性温度との関係をみると次のことが言える. 1. 3種のタンパク質の20°Cの水分収着等温曲線は,いずれもシグモイド型を示し,水分収着量約50%以下ではコラーゲンの水分活性が最も低く,卵白アルブミン,牛血清ヘモグロビンの順に高い. 2. 3種のタンパク質の熱変性温度は,水分収着量が十分に多い(140%以上)ときは,水分量の影響が認められないが,収着量が50〜60%以下になると,その低下に伴って熱変性温度は著しく上昇する.水分収着量が50%程度を境としてこれ以上のとき,熱変性温度はアルブミン〉コラーゲン〉ヘモグロビンの順であるが,この水分以下ではコラーゲン〉アルブミン≧ヘモグロビンの順である.
社団法人日本農芸化学会の論文