クローム鞣の研究 : 第1報 クローム鞣に及ぼす陰電荷錯化合物の影響
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概要
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(1) Chromium sulphate,Dioxalato-chromiate,等の陽電荷及び陰電荷のクローム錯塩を含む液を調製して,その夫々に或ひは混合物に皮粉を浸漬し,更に液のpHを上昇した際の皮粉に対するクローム結合状況を検した。(2) 同一濃度の陰電荷クローム液は陽電荷クローム液より皮粉に対する結合絶対量が少い。(3) 陽電荷クローム液はpHの高い方がクローム結合量が多く,陰電荷クローム液はpHの低い方がクローム結合量が多い。(4) 少量の陰電荷クロームを陽電荷クローム液に混じたものは両者の何れを単独に作用させたものよりクローム結合量が多くなる場合があり,このpHは略4.0〜5.0である。pHの高い時に陰電荷クロームが存在すると陽電荷クローム液を使用した場合より吸着が惡くなる。(5) PH5.3内外の最も高いpHに於ける陽電荷クロームの皮に対する吸着量は前処理の有無に拘らず何れも3%内外で非常に大きい。(6) 陰電荷クロームのみで最初の段階を,それ以上下の段階を陽電荷クロームで処理してもクローム吸着量は特別な増加を示さず,陰電荷クロームによる予備的な鞣の意味は認められなかつた。終りに有益なる御助言,御指導を頂いた京都大学井上吉之先生及び宮崎大学大谷武夫先生に深謝する。なほ本研究は一部は文部省科学研究費に一部は山崎化学研究所長山崎正一氏の御援助によつたものである。ここに厚く感謝の意を表す。又実験の助力を受けた当研究室助手金子雄三及び研究生和田敬三,山口昭俊の諸氏に対し感謝する。又本研究は日本農芸化学会東京支部第106回例会(昭和24年12月17日)に報告した。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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