石灰処理による豚皮コラーゲシめ性状変化

概要

論文の詳細を見る
皮,骨などのコラーゲンを主体とする動物組織に対する石灰処理は製革やゼラチン製造において一般に行われており,コラーゲンの化学的純化という点で重要な意味がある.しかし石灰処理によってコラーゲン自体の性状も当然変化するはずである.本研究はコラーゲン,特に豚皮コラーゲンを上記以外の広い用途に利用するという観点から,性状変化を検討することを目的としている.新鮮な豚皮の真皮層からVEISらの方法で精製したインタクト(不溶性)コラーゲンを得て,これを20°Cの2%水酸化がルシウムけんだく液に,日数を変えて浸した.浸せき液に溶脱した蛋白質と残さコラーゲンの性状を,アミノ酸分析,ポリアクリルアミドDISC電気泳動およびゲル過によって検討した.石灰処理日数に伴って溶脱窒素量は増加し,60日後には全窒素の15%が浸せき液に溶脱した.石灰処理の初期に窒素基準で約1%の非コラーゲン蛋白質が溶脱し,残さコラーゲンのゼラチン化•可溶化に対する抵抗性が増した.石灰処理が14日以上になると,多分ペプチド給合の加水分解のため,この抵抗性は減少した.しかしコラーゲンのα鎖よりも小さいペプチド断片の生成は顕著ではなかった.
社団法人日本畜産学会の論文