糸状菌によるゲンチオビオースの分解(第2報) : Aspergillus japonicus SAITO β-グルコシダーゼの性質とゲンチオビオースに対する水解,転移作用

概要

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(1) Aspergillus japanicusSAITOβ-グルコシダーゼの精製標品を用い,温度の影響に注目して,2,3の速度論的検討を行なった.ゲンチオビアーゼ活性は一次反応に従い,見かけの活性化エネルギーは14,300 cal/mole,温度係数は約2.2 (2〜40°C)であった.また熱失活の活性劣化エネルギーは68°Cに変曲点を有し,60〜80°Cで20,400 cal/mole,68〜80°Cで53,300 cal/moleであった. (2) ゲンチオビアーゼ活性はCue2+,Hg2+,Ag+などの重金属,MnO4-などで著しい阻害をうけるが,Mn2+,Zn2+,Fe3+,Fe2+,Co2+などの影響はあまりなかった.SH試薬の影響はなかった.モリブデン酸塩,O-フェナンスロリンはかなり活性化作用を示した. (3) 0.25〜10%濃度のゲンチオビオースに対する作用から生成物を検討し,その濃度が低いときは水解のみが進むが1%以上になると転移反応がみられ,ゲンチオトリオース,-テトラオース,-ペンタオースなどゲンチオビオースシリース少糖類,ならびに少量の62-t3β-グルコシルーセロビオース,ラミナリビオース,セロビオースと推定されるものの生成を認めた.しかし,高濃度基質の場合も酵素濃度あるいは反応時間を増すと転移生成物は非常に認め難かった. (4) ゲンチオビオースーグルコース混合基質に対する作用は5%濃度ゲンチオビオースに5倍量のグルコースが共存しても転移生成物は検出し難かった. (5) 2.5〜50%濃度のグルコースに対する逆合成を検討した結果,5%以上の濃度の場合主としてゲンチオビオースを認め,より高濃度,長時間反応の場合はさらに少量のゲンチオリオースを認めたが,他種の少糖類は検出できなかった. (6) グルコースを基質にした場合のグルコース〓ゲンチオビオースの平衡を検討し,10%グルースでは平衡定数2.19×10-2,20%では4.3×10-2で,この範囲ではグルコース濃度が2倍になるとゲンチオビオース生成速度も2倍になることを示した.

糸状菌によるゲンチオビオースの分解(第2報) : Aspergillus japonicus SAITO β-グルコシダーゼの性質とゲンチオビオースに対する水解,転移作用

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