清酒及び合成清酒の酸化還元電位について : (第3報)合成清酒製造における過マンガン酸カリによる酒精精製の工程の酸化還元電位について
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概要
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以上の実験の結果より総括して,途中の反応過程は相互に非常に複雑で余り解明することは出来なかつたが, I. 最低電位について:アルデヒド,酢酸の含有量の少い良質のアルコールに対してはKMnO4の作用で著しい最低電位を示し,且つ最低電位点におけるEhの変化は急角度である. アルデヒド多量のアルコールに対しては少量のKMnO4では最低電位を示さない. 0.08%の添加では最低電位を示すが,この点におけるEhの変化は緩漫である.更に多量のKMnO4の添加では多分急角度に出るであろう. 酢酸多量のアルコールに対しては最低電位点は急角度であるが著しく高い. II. 起点のEhについて:アルデヒド,酢酸の含有量少い良質のアルコールは起点のEh 0.75〜0.76 Vで約60分間位平衡を維持する.アルデヒド,酢酸多量のアルコールはEh 1.00〜1.02 Vで高く,明確に平衡を維持せず,かなり急に下降し始める. III. 緩衝電位について:アルデヒド,酢酸の含有量少い良質のアルコール及びアルデヒドのみ多量のアルコールではEh 0.50〜0.65 Vにおいて緩衝電位を示すが,酢酸多量のアルコール,或は酢酸,アルデヒド共に多量のアルコールではEh 0.75〜0.85 Vである. IV. 活性炭素添加後のEh, rHは装置の都合上,添加直後の値については不明であるが,添加後数時間後のものは添加前のEh, rHと余り差のないことは前報に述べた通りである. 以上の結果を綜合して,結局30%アルコールとKMnO4の系におけるEh-時間曲線は (1) 起点のEhが低く,このEhの値で暫くの間平衡を保つもの程 (2) 緩衝電位が低い程 (3) 最低電位が低く,且つその屈曲度が急角度な程そのアルコールは良質であり,又同一のアルコールに対しては出来る限り,上記の条件を満足するようなKMnO4量を添加する事が望ましいと云い得るであろう.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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