着果状態におけるキュウリ果実の体積生長と呼吸の関係
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概要
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1. ガラス室で栽培したキュウリの果実長約9cmの幼果を植物体に付けたまま果実チェンバーに入れ, 果実周囲の温度を10°〜35°Cの一定温度とする処理を行ったときの果実の体積生長と呼吸の関係を調べた. 果実体積の測定は1日2回行い, 果実の呼吸速度の測定には赤外線式ガス分析計を用いた.2. 果実の体積当たりの呼吸速度 (R/V) は果実の生長に伴って低下した. 果実温度一定の条件ではR/Vに明瞭な日変化は認められなかった. 処理開始1日目のR/Vの日平均値は果実温度に対して直線関係にあり, 果実温度が高いほど高い値をとった. 果実長が約20cmに達するまでの期間について, R/Vの日平均値は果実温度にかかわらず果実体積の相対生長率 (RGR) の日平均値と直線関係にあり (r=0.95), 回帰直線のRGR=0における切片は極めて小さかった.3. 果実体積測定時点間の果実の呼吸量 (ΔR) はその期間の体積増加量 (ΔV) と比例関係にあり, 比例定, 数 (13.2mgCO2cm-3) は果実温度にかかわらず一定だった (R2=0.95). これは, キュウリ果実の維持呼吸が相対的に小さいか, 維持呼吸と構成呼吸の相関が高いかのいずれかによると思われた. 果実の転換効率 (Y) をこの比例定数から推定すると86%という高い値が得られた. また, この値は温度によってあまり影響されなかった.4. ΔRとΔVの比例関係を用いて呼吸速度による果実の乾物生長の非破壊的な推定を行いうる可能性が示唆された. また, キュウリの果実生長のモデルを作る際には, 果実の呼吸を構成呼吸と維持呼吸に分離しなくともよいと思われた.5. 果実の体積生長と呼吸の関係は供試した2品種間で差が認められなかった.
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