トマト果実内酸含量の発育中の変化
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概要
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1. トマト「福寿2号」を1963, 1964年に栽培し, 果実内酸含量が果実の発育に伴つて示す変化を調査した。2. 果実全体についての酸含量の変化は3つの時期に分けられた。第1期 (開花より開花後1〜2週): 全酸および結合酸がともに高く, 遊離酸は低い。第2期 (開花後2〜3週より着色開始): 全酸および結合酸は第1期から第2期の初めにかけて急激に低下し, その後全酸は増加を続け, 着色開始の時に最大となる。一方結合酸は低いままで一定となるか, またはゆるやかに減少する。遊離酸は上昇を続ける。第3期 (着色以後): 全酸, 遊離酸は減少の傾向を示し, 結合酸の変化はない。遊離酸の全酸中の割合は第1, 第2期を一様に増加し第3期にはほぼ一定となる。3. ゼラチン状組織は子房壁にくらべて全酸, 結合酸, 遊離酸のいずれも高く, 遊離酸の全酸中の割合も大きかつた。発育中の変化は各組織とも果実全体の示すものと同じ傾向であつた。4. 全酸の50〜70%はクエン酸, 10%前後はリンゴ酸であつた。その他, 酢酸, ギ酸, シュウ酸, 塩酸, 燐酸が発育を通して存在し, 着色後にピロリドンカルボン酸がわずか見い出された。クエン酸, リンゴ酸の果実発育中の変化は全酸と同じ傾向を示し, その他の酸はゆるやかに減少を続けた。5. 陽イオンの90%前後はカリウムで, 他にカルシウム, ナトリウム, マグネシウムが存在した。果実発育中カリウムは結合酸と同じように変化した。6. pHは発育にともない低下し, log[結合酸含量]/[遊離酸含量]と高い相関を示した。
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