植物体から切り離されたトマト果実における酸含量の変化
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概要
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1. トマト果実 (福寿2号) の発育中における酸含量の増加が果実内で生成された酸によるのか, 茎葉から流入した酸によるのかを明らかにするため, 着色開始以前の種々の発育段階で果実を切り離して20°C下におき, その後の酸含量の変化を調べた。それによると, 着色開始以前のいずれの時期に切り離しても, 全酸含量は高まり, 着色する頃にほぼ最大となつた。また着色開始時に切り離した果実を20°C下におくと全酸含量は低くなつた。これらの結果は果実が酸を生成する能力を有することを示すものと考えられた。2. 切り離した果実の酸含量の増加に塩基量あるいはカリ含量がどのように関与しているかを明らかにするため, カリ施用量を変えて栽培した株から開花後35日の果実を切り離し, 着色が始まるまで20°C下におき, その間に生ずる全酸含量の増加量と果実の塩基またはカリ含量との関係を調べた。それによると, 全酸含量の増加量は塩基含量またはカリ含量とほぼ比例する関係にあることがわかつた。3. 切り離された果実において全酸含量が高まるためには次の2つの条件が関与していると思われる。(1)果実の発育段階が同じであれば酸/塩基の比がほぼ等しく保たれていること, (2) 果実の発育が進むと, 酸/塩基の比が高くなり, また切り離された果実も, 生理的に発育を続けると考えられること。
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